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写真で伝える仕事~世界の子どもたちと向き合って~

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急に寒くなってきましたね。
みなさま、お大事になさってください。

しばらく「子どもの権利」もしくは「子どもの権利条約」をテーマにして本や絵本・児童書を紹介していきたいと思います。
今日ご紹介するのは、大学の授業でも紹介している1冊。
フォトジャーナリスト安田菜津紀さんの『写真で伝える仕事~世界の子どもたちと向き合って~』(日本写真企画、2017年)です。
安田さんのウェブサイトでは、たくさんの写真とともに本が紹介されています。
http://www.yasudanatsuki.com/kodomo/

人が生きる限りそこには必ず「日常」がある。
という一文で始まるこの本。
遠くの世界も、自分とは全く異なる環境に生きているようにみえるひとも同じ「日常」を生きている。
そこからつながっていけること、私たちができることを伝えてくれます。

章立ては、こちら。

○はじめに
○写真で伝える仕事
 「写真で伝える仕事」を選んだきっかけは?
 なぜ写真なの?
 日々どんな仕事をしているの?
 大切にしていることは?
 危険な場所ではどうしているの?
○世界の子どもたち
 ウガンダ/シリア/ヨルダン/イラク/フィリピン/カンボジア/陸前高田
○私たちに何ができるのか

○写真で伝える仕事
の章で書かれている安田さんの仕事に対する思いを支える根幹部分、共感することが多くありました。
同時に、自分はどんな仕事ができているだろうと振り返ります。
危険な場所にわざわざ行くのではない、「大切なのは、出会った人々の苦しみや悲しみの根源に近づくこと」、そしてそれを写真を通して伝え、「心の距離を縮めるのが、私自身で声を伝える最も大きな目的だと言います。
「組織や会社の意図ではなく、自分自身の視点や時間のかけ方を大切に保ちながら、取材を勧められることに大きな意義」があること、そのために「自分自身の視点や時間のかけ方を大切に保ちながら、取材を進める」ことを大切にしておられます。

○世界の子どもたち
では、安田さんが出会った世界で生きる子どもたちを紹介します。
子どもたちのきらきらした笑顔とたくましい姿、その国で起きていることを教えてくれます。
それは、決して楽観視できることばかりじゃありません。

そして、最後の章
○私たちに何ができるのか
では、「誰にも必ず持ち寄り合える役割がある」ことをご自身の経験をもとに、優しく丁寧に伝えてくれます。
こんなに厳しい現実がある!と読者にせまるのではなく、自分の失敗や後悔も語りながら、
一人ひとりの力が世界を変えていけるかもしれない可能性に触れていきます。
安田さんのカンボジアでの経験。
恋愛の話で盛り上がっているとき、一人表情の曇った女の子がいたこと、その女の子が売春を強要されトラウマをもっていたこと、そのことを知らず、自分の行動を後悔したこと…。もし、カンボジアや人身売買について学んで来ていれば、という強い後悔をもったという経験です。

私にも苦い思い出はいくつもあります。なぜ知らなかったんだろう、どうして教えてくれなかったの?!とその時は思いましたが、教科書には載らない社会の事実はいっぱいあって、それは自分の手足で見つけ、読むしかない、見に行くしかないんですよね。自分の言動でもう誰も傷つけたくないという思い、私にも重なるその思いを、安田さんは、知ることが、「”学ぶ”ということは、自分以外の誰かの心を守るため」だと言います。ほんとうに、そうだなあと共感します。

「世界をもっと、優しい場所にしていくために」、写真を撮り、発信を続ける安田さん。
授業であれ、本であれ、伝える側にいる自分であることの重みをしみじみと感じつつ、私も優しく、ていねいに、子どもの生きる「日常」を伝えられたらと思います。

世界の子どもの権利の状況を伝えるだけでなく、自分にできることを考えさせられる本です。

by chisanatobira | 2017-10-05 06:14 | 子どもの権利条約

子どもと家族の小さな図書館「ちいさなとびら」をしています。絵本『子どもの権利と新型コロナ』の最新情報は、ツイッター @kodomonokenri_c、Facebookページ「子どもの権利と新型コロナ」をご参照ください。


by chisanatobira