11月になりました。赤や黄色、春とは違った色合いのきらきらした葉っぱたちが目を楽しませてくれる季節です。空は青く、高く…。台風続きの10月をくぐり抜けた空は美しいですね。
今日ご紹介する絵本は、『リディアのガーデニング』(サラ・スチュワート文・デイビッド・スモール絵・福本 友美子訳、アスラン書房、1999年)です。

出版社による絵本の紹介は、こちら。
*****************家の事情で町のおじさんのところで暮すことになったリディア。いっぱいの花を育てて、飾り気のないおじさんの店を華やかにする。笑顔を見せないおじさんのために秘密の計画を進める。
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家の事情と書かれていますが、1930年代のアメリカの不況時代を背景に描かれている絵本だそうです。
リディアの家の暮らし向きが悪くなり、家族と離れてひとり、おじさんのところにやってくるのです。
リディアの不安な気持ちを表したかのようなページがこちら。
たった一人で駅に立ち尽くすリディアの姿です。
この灰色の世界を、リディアは自らぬりかえていきます。
絵本は、リディアから家族への手紙で進行します。
リディアが何を思いながら日々生きているのかが伝えられます。
リディアの秘密の作戦。
それは、おじさんを笑顔にするため…確かにそれが目的ではあるのですが、
それはイコール、自分の置かれた状況を変えていくプロセスでもあります。
そのプロセスをリディアは、楽しみながら、
灰色の世界をお花でいっぱいにしていきます。
「4月の雨は、5月の花をもたらす」
March winds and April showers bring forth May flowers.
3月の風、4月のにわか雨、5月の花ざかりを恵む
イギリスのことわざも出てきます。
読み終えたときに、自分の心のなかにもお花が咲くような満たされ感のある絵本です。
この絵本、どのカテゴリーに入れようかなあ?と思いながら、とりあえず「生きること」カテゴリーに。
鈴木潤さんの選書です。