おはようございます。ずいぶんあたたかくなってきましたね。花粉症が辛い方もおられると思います。お大事になさってください。
今日ご紹介する絵本は、『おこる』(中川ひろたか 作・長谷川義史 絵、金の星社、2008年、1,300円)
いつもおこられてばかりいる主人公。後半は、ぼくは「おこる」!と理不尽な場面があったら立ち向かっていきます。この「ぼくは おこる」というさまざまな場面でのぼくの姿が、たくましい。下の画像は、「ぼくの へやで ままごと やりっぱなしの いもうと、ぼくは おこる」というもの。親にも世界にも、怒りを表明していきます。怒るって悪いことじゃないんだ、と思います。
この絵本にまつわる思い出を、過去のFBから振り返って発信したいと思います。今は6才になる子どもが、4歳のときのおはなし。以下、FBより転載。
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日々のなかで究極的にがちんこでケンカ状態になることもあるんですが、時々なぜかわからないけれど舵をきって別の方向に進んでいける時があります。
そして、思いがけず子どもの気持ちが聞けたり、笑顔がもらえたりします。そういう時はなぜそうできるのかなあって、振り返りも兼ねて。
4歳4か月の子ども。自己主張は強いが、コントロールは難しい。現在最もいらいらするのは、「作った食事をあまり食べない」、「最初の5分のみ座っているがその後は膝のうえ、その後はひらひらと遊び始める」こと。あと、おもちゃの片づけがなかなかできない。自分のものは少しずつ自分で片づけていくことをいろいろ試行錯誤中。
昨日のできごと。延長保育を依頼していないのに、会議を途中で抜けたけれども、ぎりぎりになってしまって、走って保育園に到着。
そしたら、子どもは、嬉しそうに、にこにこと枝豆を食べている。間違いで延長保育対応になっていたようだけど、夕飯までの間、適切なおやつがもらえている姿を見て、ほっとする。
その後も枝豆をおかわりし、なかなか帰らない子ども。そして、保育園前の公園で遊ぶと言ってきかないので、腕時計を見せて、18時30分までの約束で遊ぶ。友だちとも会え、大喜び。友達も帰るが、遊び終えられない。「ぶらんこも~、滑り台ももう一回~」と訴え。こういう時はなかなか終えられないし、遅いので、「時間は時間です。約束しました。」と言ってなんとか自転車に乗る。
その後も、夕飯の準備をあわただしくして、やっとできた…と思ったら、なかなか座れない。
視聴していたテレビを録画することで合意し、ようやく着席。しかし、たまたま置いてあった絵本『おこる』を指さして、「『おこる』を読まないと、絶対的に食べへん!」となぜか激怒の様子。私としては「なぜ、私は腹ペコなのに絵本を読まないといけないのか、まったく謎だ!私が怒りたくなる~!!」という気持ち。選んでいる絵本が絵本なので、なんとか怒る気持ちを抑え、読む。
読み終えた後、「○○ちゃん、今日なんか嫌なことあったん?めっちゃぷりぷりしてるけど。」と聴く。すると、「△△ちゃんが、○○ちゃんのおもちゃを勝手にとっていってん。○○ちゃんめっちゃ怒ってるねん。」と。なるほど、この機嫌の悪さには理由があるらしい。「○○ちゃんのその気持ち、先生に言えた?△△ちゃんに言えた?」と確認。良くわからないが、とりあえず、話していくうちに、気持ちはおさまったよう。
この絵本、最後に「おこっても気持ちはどんより。おこらないようになりたい」で終わっている。この部分について、「○○ちゃんは、おこるとすーっきり。ぜーんぜーんぼんより(言い間違い:どんより)しない」とのこと。そして、「おかーさん、『おこらないようになりたい』っておもってる?おかーさん、おこりすぎやでなあ!」と。まあ、そーだろうね。おこりすぎだろうね。
とりあえず、絵本のあとは、自分で食べる量を決め、それを全部食べたので、この日の食事は平和。
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たった2年前のことですが、すでに懐かしい。
というか、6才になっても、いまだに片付けもしないですし、ごはんもちゃんと食べないですねえ。このころは「私」がまじめすぎですねえ、いろいろ子どもに期待しすぎですよ、という指摘をしたくなります。
とはいえ、この日、私たちががちんこのケンカをしないですんだのは、ありがたかった。何も予定通りに進まない私は、だんだんイライラがつのってきてるんですよね。それは、お迎えが遅くなったりといった私の側の事情も関連しています。そして、いつもと違う子どもの多くの要求に疲労していく…、がちんこのケンカになる負のスパイラルです。あのとき、そこに絵本が偶然置かれていたこと、絵本を「よんで」といった子どもにも、それをとりあえず読んだ私にも、そして、この本を書いてくれた作者たちにも感謝です。
一般的には、ネガティブな感情と思われがちな「おこる」という感情。
でも、自分の尊厳をまもるために、決して失ってはいけない大切な感情です。そんな「おこる」という感情を知り、気持ちを表現するときに助けてくれる絵本です。