
絵本では、300年のイギリス、200年前のアメリカ・サウスカロライナ州、
100年くらい前のアメリカ・マサチューセッツ州、
そして、アメリカ・カリフォルニア州という時代の異なる4つの場所で、
同じブラックベリーフールを作る親と子が描かれます。
たんたんとブラックベリーをつぶし、生クリームを泡立てて、混ぜたものをボールに入れて冷やす。
その工程をめぐる道具や設備のみならず、親子をめぐる状況は異なるものの、「わあ、おいしいね」とお菓子をつくる、あの甘い喜びは変わりません。
そして、味見やスプーンにくっついてしまった余りをなめる楽しみも変わりません。
「ああ、おいしい」と思わずつぶやいてしまうため息は、日々を生きるエッセンスのような気がします。
少なくとも、私にとっては。(食い意地がはっている)
変わらなさとともに、時が経つにつれて、ブラックベリーフールをつくる道具も、家電も、時代背景も、それにともなう家族状況も変わっていることが、丁寧に描かれます。
奴隷制度やジェンダー、家族をめぐる状況もきっちりと描かれています。
時代は、本当に先に進んでいるのだろうか、と思うことも多い日々ですが、
最後のページは多様性にあふれていて、確かに私たちは歩みを進めている面もあることを感じます。
声高に何かを訴えるのではない、でも、大切なことを丁寧に、伝えてくれます。
作り手の学びと繊細さ、丁寧さにもしみじみとする作品です。
さてさて、この絵本を読むと、ブラックベリーフールを作りたくなります。
ちゃんとレシピも載っています。
でも、ブラックベリーは身近ではないので、ブルーベリー(しかも生協で購入の冷凍品)で代用。
昨日の夜、作りたくてたまらない子どもと作りました。3時間冷蔵庫で寝かせないといけないので、食べるのは今朝。
子どもが家族3人分、取り分けてくれました。写真は、シリコンのへらをなめているところ。
「わぁ。おいしい。」
絵本と同じ定番の言葉を発しておりました。
素朴な味でした。シフォンケーキと一緒に食べたらよりおいしいかも!