おはようございます。5月も最終週ですね。良き1週間でありますように。
今日ご紹介する絵本は、『『ねえねえ、もういちどききたいな わたしがうまれたよるのこと』(ジェイミー・リー・カーティス(作)・ローラ・コーネル(絵)・坂上香(訳)、偕成社、1998年、1,512円)です。子どもに生い立ちを丁寧に伝える絵本は、トロントでもたくさんありました。翻訳されている絵本のなかでも、この絵本はユーモアがあって、好きな絵本です。
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生まれた夜のことをきくのが大すきな養子の女の子と、何もかも正直に話す両親。様々な家族や愛情の形について教えてくれる絵本。

絵本では、
「ねぇねぇ、もういちどききたいな。わたしがうまれたよるのこと」という女の子からの問いかけから始まります。
女の子の年齢は、小学校低学年でしょうか。
女の子がこれまで養親のお父さんとお母さんから聞いてきたエピソード、生まれてから、縁組されるまで、そしてその後の子育ての思い出を語っていきます。
どのエピソードも微笑ましく、時にちょっと涙がにじみそうなエピソードもあります。そのエピソードに、あるページではやさしく、あるページではユーモアをもって絵が寄り添っていきます。
どのエピソードも絵も好きなのですが、しいてあげるならば、下のページが一番好きですね。
「ねぇねぇ、もういちどききたいな。
わたしを おにんぎょさんみたいに、だいじにだきかかえて かえったこと。
だれかが くしゃみをするたびに、ふたりとも にらみつけたんでしょ。」
絵本のなかのママのこわいかお、そして、赤ちゃんのぽよんとした感じ。
空港で繰り広げられる、さまざまな人間模様。
赤ちゃんとの初めての暮らしのなかでの緊張感、疲労、喜び。
家族の物語が浮かび上がってきます。
親子の数と同じ数だけ、子どもの生い立ちをめぐる物語はあることでしょう。
血縁であれ、養親縁組であれ、里親であれ、出会ったところから始まり、日々をともに生きるプロセスが家族をつくっていくことを感じます。
「出会えてよかったね」と、まずはそこから始めたい。その喜びと貴重さが伝わってくるすてきな物語です。
訳者の坂上香は、あの『ライファーズ』、アミティ、『トークバック』の坂上さんなのでしょうか。
もう一冊訳書をお持ちなのですが、気になっております。