またまた久しぶりの更新になってしまいました…。今年はものすごく暑いですね。夏が大好きな私ですらつらいです…。でも、昨日から少し蝉の鳴き声も変わってきましたね。夏を満喫するのも今のあいだ。とはいえ、みなさま、ご自愛くださいませ。
今日ご紹介する絵本は、『パパのカノジョは』(ジャニス・レヴィ(作)・クリス・モンロー(絵)・もん(訳)、岩崎書店、2002年、1,700円)です。私が、大好きな絵本です。
出版社の紹介文は、こちら。
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離婚したパパとふたり暮らしの女の子が、パパの新しい彼女をきびしくチェック!?
典型的な母親、大人像とはちょっと違うパパのカノジョが、
自分を理解しようとしてくれることに気づいて、だんだんと心を開いていきます。
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主人公である「あたし」にとって、複雑な存在である「パパのカノジョ」
「カノジョ」に対して、最初は否定的なことばかりを思っている「あたし」ですが、少しずつ変化していきます。
「あたし」の文句からみえてくる「カノジョ」も、いわゆる「ふつう」とは少し離れた感じのユニークでおもしろい性格で、自然体の方であることが伝わってきます。
なぜ、「あたし」は少しずつ心を開いていけるのか。
それは、「カノジョ」の「あたし」への働きかけかたが何より「あたし」、子どもという存在を尊重しているからだと思います。
後半部分、おとなが子どもと関係性をつくっていきたいと思うなら、参考になるヒントが多く込められています。
それは、単なるスキルや技術ではなく、「カノジョ」の生きる姿勢と重なるものだとは思うのですが、参考になることは多くあると思います。
そのような意味で、児童養護施設のような生活をベースにした場所へ実習に行く学生さんたちにもおすすめですし、
ステップファミリーのお父さん・お母さんにとっても、施設職員の方や里親さんにとっても学びの多い絵本だと思います。
それは、決して難しいことではないんです。例えば、こんなふう。
パパのかのじょは、あたしのはなしをテレビをけしてきいいてくれる。
ひみつはひみつにしといてくれる。
あたしがうまく 話せないときでも、口をはさんだりしない。
スペルのテストをするときに、できなくて くやしかったら、ドアをバッターン!ってしめてもいいんだ。
そして、あたしにぜったい、バカっていわない。
ほかにも、
いちばん大きな はくしゅ
かけっこのゴールで、いつまでもいつまでもまっている こと。
あたしのものをガラクタっていわないし、かってにさわらない。
あたしのきげんがわるいとき むりやり わらわそうとしたり、質問ぜめにしたりしない。
そう、ただ しずかにしといてくれる。
といった具合に。
ああ、できていないなあって思います。
子どもが望んでいることは、シンプルで、尊重があり、余裕とユーモアがあることだなあと改めて思うのです。
とはいえ、そんな説教くさいわたしのコメントはおいておいて、
カラフルで楽しい、この絵本を存分に味わってくださいね。