
4月になりました。
まだまだ 肌寒いですが、 すっかり春の気配の日々です。
今日ご紹介する絵本は、
『南の国へ おもちゃの旅』(作・絵 ハンス・ウルリッヒ・シュテーガー 訳
ささき たづこ、童話館出版、1967年、日本語版1996年、1,500円)
です。 童話館ぶっくくらぶで知りました。
出版社からの 書誌情報はこちら。
***************************************
くまのぬいぐるみのテオドールは、古くなってあちこち傷んできたので、
ゴミ捨て場に捨てられます。その夜、テオドールは夢をみます。
南の国でたくさんの子どもたちと幸せに暮らしている夢を。
おなじように捨てられていた木馬のガスパールに夢の話をすると、一緒に行くことに。
途中、木の牛、人形、こわれたきつつきのおもちゃ、こわれた赤いトラクターなどを
仲間にいれて、南の国を目指します。大きな川を渡らねばなりません。
そんな時も、みんなで力を合わせて乗り切っていきます。いろんな人達が住む町を過ぎていって、
いろんな人と仲良しになって、おまけに、傷んだおもちゃを直してくれる町だってありました。
そして、最後の航海。南の国へ。
***************************************
本当は 卒業式に この本のブログをアップしたいなあと思っていました。
卒業して 新しい日々を始める学生さんたちが
こんなふうに 日々を乗り切ることができたらいいなあと思って。
捨てられてしまったくまさんが、 夢で見た楽園を目指して
そこにたどり着くまでの プロセスを描いた物語です。
こんなふうに書いてしまうと、 非常に単純な、どこにでもある物語のように思えます。
でも、なんだろう。
くまさんは、 ひたすら南の国を目指すのでもなく
周りの景色も楽しみながら、いろいろな人と出会って、
いろんな人たちと一緒に 自分の夢を叶えるのです。
そのプロセスが、 とても良いのです。
目的をかなえることに終始するのではなくて、
そのプロセスを 大事にやっていく、 そのこと自体がまるごと生きることなんだなあって
しみじみ思う本です。
読み終えたあと、思わず幸せなため息がこぼれてしまう、そんな絵本です。
新しい場所で新しい生活をはじめる人も多いことでしょう。
エネルギーの要る季節です。
それぞれの人が、それぞれの日々をどうか駆け抜けることができますように。