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南の国へ おもちゃの旅

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4月になりました。
まだまだ 肌寒いですが、 すっかり春の気配の日々です。

今日ご紹介する絵本は、
『南の国へ おもちゃの旅』(作・絵 ハンス・ウルリッヒ・シュテーガー 訳 
ささき たづこ、童話館出版、1967年、日本語版1996年、1,500円)
です。 童話館ぶっくくらぶで知りました。

出版社からの 書誌情報はこちら。

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くまのぬいぐるみのテオドールは、古くなってあちこち傷んできたので、
ゴミ捨て場に捨てられます。その夜、テオドールは夢をみます。
南の国でたくさんの子どもたちと幸せに暮らしている夢を。
おなじように捨てられていた木馬のガスパールに夢の話をすると、一緒に行くことに。
途中、木の牛、人形、こわれたきつつきのおもちゃ、こわれた赤いトラクターなどを
仲間にいれて、南の国を目指します。大きな川を渡らねばなりません。
そんな時も、みんなで力を合わせて乗り切っていきます。いろんな人達が住む町を過ぎていって、
いろんな人と仲良しになって、おまけに、傷んだおもちゃを直してくれる町だってありました。
そして、最後の航海。南の国へ。 
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本当は 卒業式に この本のブログをアップしたいなあと思っていました。
卒業して 新しい日々を始める学生さんたちが
こんなふうに 日々を乗り切ることができたらいいなあと思って。

捨てられてしまったくまさんが、 夢で見た楽園を目指して
そこにたどり着くまでの プロセスを描いた物語です。
こんなふうに書いてしまうと、 非常に単純な、どこにでもある物語のように思えます。

でも、なんだろう。
くまさんは、 ひたすら南の国を目指すのでもなく
周りの景色も楽しみながら、いろいろな人と出会って、
いろんな人たちと一緒に 自分の夢を叶えるのです。
そのプロセスが、 とても良いのです。
目的をかなえることに終始するのではなくて、
そのプロセスを 大事にやっていく、 そのこと自体がまるごと生きることなんだなあって
しみじみ思う本です。

読み終えたあと、思わず幸せなため息がこぼれてしまう、そんな絵本です。
新しい場所で新しい生活をはじめる人も多いことでしょう。
エネルギーの要る季節です。
それぞれの人が、それぞれの日々をどうか駆け抜けることができますように。

by chisanatobira | 2019-04-01 11:06 | 生きること

子どもと家族の小さな図書館「ちいさなとびら」をしています。絵本『子どもの権利と新型コロナ』の最新情報は、ツイッター @kodomonokenri_c、Facebookページ「子どもの権利と新型コロナ」をご参照ください。


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