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尊重と多様性 ~アクロストンさんのワークショップ~

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町が少しずつクリスマス仕様になってきました。
紅葉がまっさかりのころに行われたアクロストンさんのワークショップのレポ、遅くなりましたが、お届けします。
長文ですよ~。

最近、あるひとつのことを考え、学んできた方たちの一言というのは、
その方ご自身の歴史もあって、非常に深く、たった一言でも、
本当に多くの学びと気づきをもたらすものだなあと感じています。
専門性やその方がこれまで得てきた学びが立ちのぼるというか。
本ではない、その方に会いに行き、直接学ぶことの大切さってこういうところにあるんだなあと改めて思います。

アクロストンさんのワークも、アクロストンさんたちご夫婦の生き方、
子どもたちへのまなざし、伝えたいメッセージが一言一言に込められていました。
そこにほぐされながら、ワークは進んでいきます。

娘さんが受講した小学生対象のワークをお伝えします。

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到着したら、まずこんなシートが待っています。
左は、小さな赤ちゃんの絵。
そして真ん中はもっともっと小さい頃の赤ちゃん。
そして、その前は…きらきら受精卵だったというところから始まります。
キラキラしたちっちゃい〇、自分の好きな色の〇を貼ります。

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「じゃあ、どうやって受精卵はできるんだろう?」
と、次に始まるのは、卵子のおはなし。
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↑の絵は「体のどこにだろう?」と子どもたちと話しながらすすんでいきます。
そして、卵巣のはなし。そこにいっぱい卵子がつまっていること(数にかかわって子どもたちとやりとり)、
そして子宮をはっていきます。ふわふわの気持ちの良い素材。赤ちゃんのベッドの登場です。
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「ほわほわだわ~」とさわっている娘さん。
でも、卵はワープできません。ということで、卵管の説明。
卵管をはります。

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「この卵管をとおって、子宮までやってくるんだよー」と。
そして、月に1回卵が子宮にやってくる排卵のおはなし。
赤ちゃんを迎えるため、血が集まってきます。それを毛糸でつくられた経血で表現します。

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娘さんは几帳面にかこって表現していますが、
子どもたちのやり方はさまざま。
もりっもりにしている子もいて、
「それは病気だよ~」という話も。
子宮内膜症や子宮腺筋症はこういう原理なのか、と私は自身の病気を立体的に学びました!

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でも、毎回赤ちゃんが誕生するわけではなく、そういう場合は、赤ちゃんのベッドのため
集まってきた血液たちは、経血として流れていきます。
こんなふうに。
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それをアクロストンさんの素敵なバッグに入れます!
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中学生のワークでは、実際に生理用ショーツにナプキンをつける練習をします。
そして、ナプキンにきちんと経血(この毛糸の経血です)
を入れて、ナプキンを捨てられるようにします。女の子だけでなく、男の子も。

共有できる「知」にすることが素晴らしいなと思いました。
隠し、見えないようにする、処理すべきものという発想がやわらかにほぐされます。

小学生のワークに戻ります。
次は、精子のおはなし。
精子が入ってる精巣から精子が通っていく道をはるのがなかなか難しい。くねっと曲がっています。
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次に、おちんちんを作ります。
おちんちんがこれまたときめく素材。いろいろな色があります。
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子どもたちの作品を見てもわかるように、
子どもたちは自分たちで好きな色を選んで自分の作品をつくっていきます。
一つとして同じものはありません。

私たちの体もまさにそのとおり。
私たちは多様性に満ちているということが感じられます。
アクロストンさんのワークの大きな特徴は、
「みんなちがっている」という大切な事実をさまざまなポイントや学習材で工夫している
ところにあると思います。

そして、精子をはっていきます。「精子は卵子よりもちっちゃいんだよー」
「何歳から精子はできると思う?」というやりとりをしながら、
これまた「こんな素材があるんだ~」と気づかされる精子の素材コーナーから精子をとってはっていきます。

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さて、卵子と精子がどのようにできるのか、そして卵子と精子によって受精卵ができるところまでは分かりました。
ここで、アクロストンさんから
「でも、卵子も精子もワープできないよね。どうやってお互い出会うのかな?」という問いかけが。
子どもたちは、「ふーむ」という感じでした。

ある子が、二枚のシートを重ねてみせるしぐさをしました。
「そうだね~」とアクロストンさん。
ペニスが膣のなかに入って受精卵ができるお話をしてくださいました。

そのときに合わせて、
「(これまでの話を総合すると)裸でするわけだよね。
誰とでもできるわけじゃないよね。」というメッセージも送ってくれていました。
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そして、生殖補助医療で生まれる子どもたちの話も。
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卵を卵巣から注射でとって、精子を入れて赤ちゃんが誕生する話もしてくださいました。

アクロストンさんのワークは現在3部構成になっていて

ワークショップ1 身体の仕組み、生殖行為としてのセックス
ワークショップ2 生理用品の使い方
ワークショップ3 愛情行動としてのセックス、避妊

という流れになっています。
今日お伝えしたのは、ワークショップ1です。

印象的だったのは、アクロストンさんのお二人が子どもたちの発信、つぶやきを非常に楽しんでおられることでした。
ワークをファシリテートし、安全な学びの場、楽しめる学びの場、必要な知識を正しく提供する場
にすることを大切にしながらも、余白があるというか、楽しく、ほぐされながら学びがすすんでいくのです。
自分たちのメッセージを明確にしながらも、あとは子どもたちがどう受け取るかは
子どもたちを信頼して任せておられるからこそだと思いました。
学びの場そのものを子どもたちとつくっている、そんなふうにも感じておられるのではないかと思いました。

お二人が異なる性別で、それぞれでうまく役割分担されながらすすめている姿も印象的でした。
それこそが、パートナーシップを感じさせるものでした。
セックスという行為は、愛と尊重にもとづき、コミュニケーションをとりながら
すすめていくもの。そんなあったかいイメージを子どもたちが持てるのではないか、と思いました。
いいなあ、私もそんな性教育を受けたかったな~。
でも、子どものおかげで大人だけど、受けられてよかったです。

ほんとうに楽しいワークでした。
ただ一方的に講義を受けるのではなく、自らの手を動かしていくことも
主体的な学びをつくりだしていくのだなあと。

みなさん、ぜひ機会がありましたら、
子どもさんとともに、あるいはお一人でも!
自らの体がもっている秘密をあらためて知ることもできます。
なんというか、べりっと自身の思い込みを手放しつつ、わくわくする学びでした。

アクロストンさんのウェブサイトはこちら。

アクロストンさんのnoteも読み応え抜群。梟文庫でのワークショップについての記事を貼らせていただきます。


梟文庫の西尾さんのレポートも共感です。
ぜひ合わせてお読みください。
西尾さん、この度は企画してくださって本当にありがとうございました!






by chisanatobira | 2019-12-12 12:45 | 性教育

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by chisanatobira