前回の記事の続きです。
そうして迎えたワークショップ当日。
数人でもできたらいいなあって思っていた私の気持ち以上に
たまたまいろいろなタイミングとご縁がかさなって、
あっという間に参加者枠はうまりました。
子どもの参加が4名、大人の参加が同じく4名でした。
最初に、自己紹介タイム。
名前・年齢・好きな食べ物を話してもらいました。
私は少し深めの自己紹介。
なぜ子どもに権利を伝えたいと思うのか、
子ども時代にさかのぼって話をさせてもらいました。
中学生の頃、厳しい校則と何もかもが大人に決められる環境で
耐えられなかったこと。
今よりずっと「学校に適応できなかったら社会でやっていけない」という
物語が強固で、そこから逃げ出そうとすら思わなかったこと。
そのなかで、周りの皆のようにできない自分はダメで、
自己否定し続けたこと。
そんななか、子ども版の新聞で
その当時、日本政府が権利条約を批准していなかったということを
知ったこと。
(国連で採択された1989年から、政府が批准した1994年の間に私は中学生だったのです)
「ああ、私の苦しさは、私だけのせいじゃなくて、
社会のありようとかかわっているんだ」
とぼんやり思ったこと。
その時ははっきり分からなかったけれど、
自己否定をやめられるようになった25歳くらいの頃
最も自分が苦しかった時期に、自分を支えてくれた、
否定の矢印をすこしゆるめられたもののひとつに
その時の経験があったこと。
だから、子どもには子どもの権利を伝えたいと思うこと。
今、大学の授業で学生に教えていると、
学生から
「子どもだから理不尽なことされても仕方ないと思って生きてきたけど、そうではなかった」
「子どもである間に子どもの権利を知りたかった」
という悲痛な声をもらうこと。
だから、今回、企画をしてみたことを
話しました。
権利のワークショップは、自作のカードを用います。
いわゆる価値観を話し合う権利の熱気球のワークショップにも似ているのですが
私が学生時代に受けた子どもの権利のワークを
20年前くらいに児童養護施設で育つ子ども対象につくりかえたものです。

カードは全部で18枚。
何も書いていないカードが3枚あって、自分たちで記入することができます。
グループでカードを眺め、そのなかで大切だと思うカードを
まず、10枚にしぼり、最終5枚まで選びます。
そのプロセスで、グループそれぞれの人の思いや考えを共有し合います。

参加してくれた方たちに許可を得て、当日のつぶやきを載せさせてもらいますね。
カードを全部広げて、「10枚に選んでほしい」という指示を伝えたとき。
子ども「これ、全部いるやん」と。
(私の心の声:ほんとうにその通り。)
「9 子どもどうしくらべられない」のカードをめぐって。
子ども「これ、学校であるなー。」
子ども「先生は、『いい』意見を言う人をあてるねん。私は当たらへん。」
(私の心の声:今でも学校の状況はそんなに変わらないのか…)
「5 おいしくて栄養のあるごはんやおやつを毎日食べられる」のカードをめぐって
子ども「これ絶対はずせないよな」
私「『おいしくて栄養なくてもいいんじゃないか』ということで
はずされるときもあるよ。」
複数の子ども「『おいしい』は大事やで。」
(私の心の声:そうなのか~)
このエピソードを聴いた親御さん「なんか、うれしいなあ」
(つづく)