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子どもの権利のワークショップ 3 ~休校対応へのささやかな抵抗

子どもの権利のワーク。

レポートの最終回です。


1回目はこちら。

2回目はこちら。





権利のワーク、カードを最終5枚まで選んでもらった後、発表します。

各グループの結果は、こちら。



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子どもグループと大人グループの最終出した結論は
異なっていて、そのあたりについても意見を共有しました。

そして、グループワーク後に、種明かしをします。
実は、カード15枚は、すべて子どもの権利条約に書かれている子どもの権利
を具体的に示したものなのです。

つまり、カードに書かれていることは、
全て権利としても考えられるすべて必要なものであったということです。

にもかかわらず、わざわざ「選択する」という
そもそも難しいことをお願いしていたというわけです。

ただ、それぞれの子どもが生きる環境によって、実現できる権利は違いますし、
子どもの権利を保障する基盤を縮小せざるを得ない場合、
優先順位を考えないといけない場合もあることを話します。
そして、カードの内容は、子どもによって、「権利(Rights)」だったり、
「ニーズ・必要なこと(Needs)」だったり、「欲望(Desire)」だったりする。
その場その場での検討が必要であったりもします。
(これを具体的に1つずつワークショップで考えたりするのも楽しいと思います。)

そして、このワークのもう一つの目的は、
権利条約に書かれた子どもの権利を生活の身近な場面と結びつける
ということ。
実は、カードには、そのはしっこに小さなマークを書いていて、
権利条約のユニセフ訳の権利条約全文の文書と参照できるようにしています。
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それぞれの参加者が「これは、必要」と思ったことは、
権利条約の条文に書かれている子どもの権利と重なるということ。
それは、自分の感覚が間違っていないことに気づくこと
にもつながっていきます。

子どもは、「わがまま」とか
「子どものくせに」とか
自分の感覚を否定されることが少なくありません。
たとえ、その感覚が正しくとも、
大人によって、その感覚すらも承認されなくなってしまうことがあります。
そういうとき、あなたの感じたことを大切にしてほしい、
と思うのです。
その時は、大人や自分より大きな力に負けたとしても
一つだけでも「あなたの感覚は大事だよ」と
知ることができることは、
長い時間軸のなかで子どもを支えるかもしれません。

最後に、権利条約について解説の時間をとりました。

権利条約には、四つの柱があること。生きる権利・育つ権利・まもられる権利・参加する権利。
その具体的な内容は、カードと権利条約の条文を照らし合わせながらみていくと面白いこと。

権利条約がつくられた当時、「子どもにもこんないいものが!」と言われたけれども、
まもられる権利をみていくと、いかに大人が子どもの権利を奪っているかがわかること。

子どもの最善の利益、という考え方。
子どもの意見はその「最もよいこと」を検討するうえで重要だけれども、
子どもの意見、大人の意見、どちらが上ということではなく、それを調整しながら、
「子どもにとって最もよいこと」を考える必要があること。

権利条約が批准されて、ずっと国内法は改正されなかったけれども、
2016年6月に児童福祉法が改正され、子どもの権利条約の理念が
序文として入ったこと。
2020年4月から体罰禁止も明確になったこと。

などなどを伝えました。
そして、最後に絵本を読みました。
この絵本です。


もう感想の共有はいいかな~、と思っていたら、
一人の子どもさんが素敵な司会をしてくれ、
皆さんの感想を聞くことができました。

「子どもにはこんなにもたくさん権利があると知れてよかった」という声。
いろいろな思いがあふれて、涙が出てきたと思いを話してくれた方。
実際の子どもの場面では、権利だとわかっていても保障するのが難しい時がある
という葛藤を伝えてくれた方。
改めて、子どもの権利を学びたいと思っていたなかで、タイムリーだったと伝えてくれた方。

権利条約は、子どもの状況を見つめていく、検討していく
手立てとしては大きな存在です。
まず知ることから始めるということ。
それを地域の仲間たち(子どもも大人も)と共有できたのは
貴重なことでした。

それは、私たちのなかに「子どもの権利」という軸の共通認識と言語をつくるという意味もあります。
それを地域で得ている、身近な仲間と得ていることの貴重さを想って、
本当にありがたい時間でした。
孤独だった14歳のわたしに伝えてあげたいです。

最後に、梟文庫以前から、地域のコミュニティスペースをつくっている
TIYALUKAさんの言葉を紹介したいと思います。

<ブログから引用>
また、今回の感染症対応で、日本の学校機能のあまり語られることのない側面に光が当たったように思います。
それは逆に言えば、社会の養育機能があまりにも学校依存で脆弱であること、
社会的養育を支える施策や制度があまりにも貧弱であること(例えば学童保育へのサポートの少なさなど)
が明らかになったということでもあります。
<引用ここまで>

本当にそうなのです。
学校という学びの場を選んでいない子どもたちの保護者の方たちとの語らいから
今回の企画は始まりました。

どんな地域をつくっていきたいか、
どんな教育を構想していきたいか、
一緒に歩む仲間がいることへの
心からの敬意と感謝とともに
小さな試みを続けていきたいと思います。


by chisanatobira | 2020-03-13 10:48 | 子どもの権利条約

子どもと家族の小さな図書館「ちいさなとびら」をしています。絵本『子どもの権利と新型コロナ』の最新情報は、ツイッター @kodomonokenri_c、Facebookページ「子どもの権利と新型コロナ」をご参照ください。


by chisanatobira