
毎日、コロナウィルス感染拡大のニュースが流れ、
不安な気持ちとどう折り合っていくか、その調整にエネルギーを使う日々です。
それぞれの人が、それぞれの場所で努力を続けていることでしょう。
このブログをご覧になっている方のなかには、
子どもの日々を支えている方もおられることでしょう。
週に1回にはなりますが、
あふれるネット記事のなかでも、
「これは、よかった」というものもシェアしていきたいと思います。
今日ご紹介するのは、『暴力は絶対だめ!』(アスリッド・リンドグレーン 石井登志子訳、岩波書店、2015年、900円)です。
1978年にドイツ書店協会平和賞の授賞式で『長くつ下のピッピ』を生んだ児童文学作家アスリッド・リンドグレーンの演説を訳したものです。
出版社による紹介はこちら。
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「子どものしつけに暴力は不要」――『長くつ下のピッピ』を生んだ作家リンドグレーンは,1978年にドイツ書店協会平和賞授賞式で力強く訴えた.その提言は世論を動かし,スウェーデンでは,世界ではじめて子どもへの体罰を禁止する法律を定めるきっかけにもなった.子どもとかかわる全てのひとを希望へと導く名演説.
iwanami.co.jp/book/b264655.html
体罰が当たり前で論争が起きていた当時のスウェーデン。
この演説は、「あまりに挑発的だ」とみなされ、内容の変更を依頼されたそうです。
スピーチは、この世界がいかに暴力に満ちているかということから始まります。
そして、真の意味で暴力と戦うということはどのようなことか、そこから子どもへの体罰について言及していきます。
「むちを惜しむと子どもはだめになる」ということを信じていた母親が
その考えと訣別するために行った行為には、自分自身を振り返ります。
日本では、2020年4月から児童福祉法に体罰禁止の条文が盛り込まれました。
法律においても、大人から子どもは体罰を受ける存在ではないことが明確になりました。
理念は、明確になりました。それでも、スウェーデンから遅れること30年以上。
それは、なかなか簡単なことではありません。
本文には、今の私たちに重なってくる言葉もあります。
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わたくしがまだごく若い頃、計りしれないショックを受けたことを今でも覚えています。
わたくしたちの国や世界の運命に影響力のある人たちが、何ら卓越した能力や
慧眼を持つ神ではないと、突然理解した時のことです。
指導者たちは、わたくしと同じように人間的で、弱点のある人たちだったのです。
ところが、彼らは権力を握っていました。そしてどの瞬間にも、彼らの衝動に左右されて、
重大な決定がなされていたのです。もしもうまくいかなければ、時には戦争になったことも
あったかもしれません。たった一人の権力欲、あるいは復讐心、あるいは虚栄心、あるいは強欲、
あるいは-これが最もありふれているようですがーあらゆる状況において最も効果的な
暴力を過信することによって。同様に、たったひとりの良心的で思慮深い人物が、暴力に
訴えないことによって、大惨事を回避できることもあるのです。(15-16頁)
一人ひとりが社会をつくっているのだという意識は、
日本社会のなかで、まだまだ少ないように思います。
本当のところは、誰か特別な能力のある人に引っ張っていってもらうことはできない。
それぞれの人が自分の頭で考え、行動していかなくてはいけないと思います。
そして、子どもも、一人のひととして考え、行動する人なわけです。
誰かのことを、「えらい」人、「この人についていけばいい」と思える人
としてみなしてしまった瞬間から、
逆に誰かのことを、「何もわからない」人、「指導する」対象とみてしまった瞬間から、
私たちは、おとなと子ども、えらい人、そうでない人、と次々グループをつくり、
そのランク付けでしか人を見なくなってしまう気がします。
そして、そうしたなかで暴力は起きるわけです。
40年以上前のリンドグレーンの言葉だけれど、私たちは学ぶべきことが多くあるように思います。
荒井良二さんの素敵なイラストとともにぜひお楽しみください。
では、この間良かった記事のシェアです。
五味さんの子どもたちへのまなざしに、いつもほっとします。
「感染防止」の一点に集中しがちな視野が少しずらされていきます。
学校の休校の長期化に向けて、丁寧に論点が整理されています。
あとは、子どもたちにコロナ・ウィルス感染対策が分かるような情報提供。
ぷるす・あるはのこの情報もどこかに貼っておくとよさそうです。
副島先生の子どもの〇つけの話もとてもよかったです。
心がほっとしました。
そして、他の国の首相たちが子どもたちに会見している様子、
素敵です。ぜひ、子どもたちと一緒に見てくださいね。
カナダの首相への子どもへの会見がすてきです。
youtubeの設定のところで、字幕を自動翻訳で日本語にすると日本語訳が見えます。
デンマーク首相の子どもたちに説明する映像です。
(途中で動画へのリンクがあります)
ノルウェーもされていました。