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家族をかたちづくる、たいせつなもの

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今回紹介する絵本は、『わたしのかぞく みんなのかぞく』(サラ・オレアリー 作/チェン・レン 絵/おおつかのりこ 訳 あかね書房、2022年)です。



「みんなのかぞくについてとっておきのことをはなしてね」と先生に言われ、「うちのかぞくは ほかと ちがうから」と考えてしまう「わたし」。
そこから、子どもたちが、いきいきと自分の家族について語ります。子どもたちが語る言葉と、やわらかでのびのびとしたタッチ描かれる家族の日常を切り取ったイラストから、クラスにいる12の子どもたちが、それぞれ異なる、多様性にあふれた家族環境のなかで生きていることが伝わってきます。

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幼い頃から付き合って夫婦になった家族の子どもをはじめとして、里親家庭、同性愛カップル、障害のある保護者の子ども、家族全員顔が似ている家族、ステップファミリー…。父と母のふたつのおうちを行き来する子どものページでは、「1しゅうかん ママと くらしたら、つぎの しゅうは パパと くらす。ひいきは しない」とあります(下記参照)。クラスの子どもたちの発信を受け取った「わたし」は、自分の家族について話し始めます。

絵本を読み進めるうちに、子どもにとって大切なことは、その「かたち」ではなく、ともに過ごしている時間、日々の生活のなかにある習慣や楽しみ、その家族の一人ひとりのその人らしさが尊重されていることではないかと気づかされます。そして、誰もが、子どもを育てる、親であるということを奪われず、大切にされる必要があるのだということも教えられます。

私たちは、自身がイメージする家族や暮らしのあり方をもとに、子どもと家族にふるまい、語りかけます。親子は血がつながり一緒に暮らしている、夫婦は異性である…。もし、そんな思い込みがあるとしたら、いつのまにかそれ以外の家族を排除してしまっているかもしれません。子どもは、おとなのことをよく見ています。みなさんの周りにいる「わたし」が、自ら話そうと思うような関係と環境を用意できているのかを考えさせられます。

ページをめくるたび、一つひとつの家族の多様な美しさをじっと見つめてしまう作品です。
(ちゃいるどネットOSAKA vo1.113 2023.5掲載)


by chisanatobira | 2023-07-03 13:23 | 多様な家族・里親

子どもと家族の小さな図書館「ちいさなとびら」をしています。絵本『子どもの権利と新型コロナ』の最新情報は、ツイッター @kodomonokenri_c、Facebookページ「子どもの権利と新型コロナ」をご参照ください。


by chisanatobira